このコミュニティーの長によると、新学期の9月、約120人のバトワの子どもが小学校に通っていたが、既に20数名が学校に行かなくなってしまったという。その理由として、まず単純に貧困、そして近くのゴミ捨て場の存在が挙げられた。ブジュンブラ市街から来るゴミのトラックから使えそうなものや食べられそうなものを探すことのほうが、学校に行くことより優先されてしまうのだ。家庭が(そして家庭を持たない子どもも多い)貧困であるほど、文房具や服を最低限揃えることは難しい。援助団体が不定期的に文具等の配布をしたところで、日々食べるものが不十分でお腹が減っている子どもは学校での勉強に集中できないであろう。
授業料のかからない6年間の小学校を卒業することが困難なバトワの子ども達にとって、中学校はさらに遠い存在だ。実際このコミュニティから中学校に進学したのは一人で、その一人もすでに中途退学している。お手本となる人物がいればもう少し子どもや親を動機付けることができるのではないだろうか。
「ウラシャカ クジャ クショーレ?」(学校は好き?)と、母親の病気のため退学せざるを得なかった女の子に聞いた。声を出さずに頷いた彼女はうっすら笑顔だった。父親はいない。今度の新学期(9月)からはできれば学校にいかせてやりたい、と母親は言っていた。
訪問の途中大粒の雨が降ってきた。しばらく車内で待機。雨がやみあがってきたころ、小さな男の子が洋服とは呼べないシャツとおそらく大人サイズのパンツをひきずり、先に行ってしまった姉らしき女の子をべそをかきながら追いかけていった。